読書三昧

せっかくの休みだが暑さは苦手なので部屋で読書に耽ろうと一気に新刊を三冊購入した。単行本ばかりだったので五千円ほどかかってしまった。大人になってよかったと思うのがこういう時である。転職したばかりの貧乏サラリーマンにとって五千円は決して小さい金額ではないが払えない金額ではない。しかし問題があって、大枚はたいて本を買うと、買ったというその事実に満足してしまい、読むこともなくそれどころか本屋の袋からも出さずそのまま部屋の片隅にしばらく置きっぱなしにしてしまったりする。その愚行を繰り返さないため、この三冊の中で一番面白かった作品についてちゃんとした書評を書こうと決めた。それを最近加入した書評サイトに投稿してみるつもりである。入手したのはこの三冊だ。

まぼろし

まぼろし


四月になれば彼女は

四月になれば彼女は


猫泥棒と木曜日のキッチン

猫泥棒と木曜日のキッチン


最初に読み始めたのは生田さんのまぼろしだ。相当期待していたのだが、いささか期待はずれだった。けだるげな作風は今らしくていいと思うものの、それを描く力があまりにも貧弱にすぎないか。最近の純文学作家はどうしてこんなに文章が下手なのだろうか。悪文と言っていいような文章にはずいぶん参った。そのあとに読み始めた川上健一は悪くない。現代性など皆無の古臭い青春小説ではあるが筆が安定している。これが作家というものだよなと思わせてくれる。三分の二ほど読んだところだがこの作品の書評を書くことになるかもしれない。三つ目は初めての作家。黄色い猫の表紙が可愛くて、手に取ってしまった。初めてというのはそれだけでわくわくするものだ。当たりであればいいのだが。